塵箱

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山田宗樹:百年法(下)感想

山田宗樹:百年法(下)を読んだ感想。

 

www.kadokawa.co.jp

 

正直な感想。

「面白いけど思ってたのとちょっと違った」

 

前回、百年法(上)の1部まで読んで、勢いで感想を書いた。

今回は百年法(下)となっているが、まぁ上の二部以降の感想になる。

 

上では百年法が凍結され、官僚の遊佐が再び立ち上がるまでの話だった。

二部では一気に20年後に時代が飛び、その次ではまた20年、最終的には2098年まで話は続く。

 

一部でも登場した蘭子の息子ケンも加わり下では百年法下の共和国日本を描く。

 

あらすじをすごいざっくり言うと

百年法は凍結から5年経って施行される。

1 蘭子が百年法適用者になって死ぬ。

2 息子ケンはHAVIを受けず拒否者の支援をして、やがて英雄視され始める。

3 遊佐は首相になって大統領特例法で100年経っても死なない。

4 牛島は大統領になるが、遊佐とは反目する。

5 政治のゴタゴタがあってクーデターが起きるがあっさり収まる。

6 そんなことしてるうちにHAVIに欠陥が見つかって16年後にHAVIを受けた人が全滅することがわかる。

 

個人的にすごいしっくりこなかったのが、6のところ。

物語が百年法の継続か廃止かといったところで動いていたところ、突然はぐらかされたような印象があった。戦争モノの映画を見ていたはずが途中でディープインパクトになった的な。

この小説のテーマが「無限の命」だけではなく、「大きな責任に対してどのような態度であるべきか」みたいなことも書こうとした結果、こういう形にしたのだろうとは思うし、(上)の冒頭からそれに触れ、(下)でしっかり回収しているところなんかもすごい面白さは感じた。

ただやっぱり個人的には無限の生と死とはほとんど変わらないっていうようなところを突き詰めてほしかったというところはある。

 

大きな風呂敷を広げたところをきちんときれいにまとまっているのはすごいなとは思うんだけど、投げっぱなしエンドみたいのも嫌いではないのでそういう感じだったほうが個人的には好みといいうお話でした。

 

上下と合わせて読んで、一番いいなと思った人物はなんだかんだで遊佐かもしれない。

途中で登場したケンはなんか最後まで好きにはなれなかった。人間らしくないというか。

遊佐は官僚至上的な考え方・書かれ方とかは好きではなかったが、途中であれほど自分が理想を語りながらも挫折するところとか、その後もう一回開き直るあたりに最終的には好感が持てた、良いキャラクターだったと思う。

 

なるほどなと思ったレビュー

yukikaze.otaden.jp

 

おしまい