塵箱

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伊藤計劃:『ハーモニー』感想

伊藤計劃『ハーモニー』を読んだ。

 

あらすじは、とりあえず置いといて、感想を書いていく。

 

思いついたときに定期的に読み返す一冊で、今回はコロナウイルスの一連の報道を見ていたら何となく読みたくなった。

 

コロナウイルスによる閉塞感と、小説の世界が個人的にはすごいマッチしている。

物語は生命主義が至上とされる世の中で、まず何よりも健康体であることが社会の一員として重要なこととされる世界。健康であるための取り組みをしない人は社会的に批判される。誰もが隣人愛に溢れ、ストレスと危険と病気をどこまでも遠ざけることで穏やかに過ごす世界の話。

 

コロナウイルスでの連日の報道を見ていると、重なるようなところがあると思う。

生命至上主義や誰もが正しくなければならないという閉塞感、相互監視的な側面は既に現実のものになっているなぁと最近は感じる。

自分だけの体ではなくて、社会全体のリソースとしての自分、を意識せよと言われている気がするのは考えすぎだろうか。

 

一喫煙者としては最近の嫌煙主義も似たようなものじゃないかと思う。

ハーモニーの世界では喫煙なんてことはとっくに普通の世界から無くなっていて、主人公はわざわざ酒とタバコを求めて戦場にまで出向く。

 

禁煙社会は筒井康隆の『最後の喫煙者』のようなヒステリックな感じではなくて、ハーモニーのようにぬるっと進んでいくんじゃないかと怖くなってしまう。

 

話が逸れたが、『ハーモニー』とコロナウイルスの話でした。

 

おしまい