塵箱

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カズオ・イシグロ:日の名残り 感想

久しぶりに書きます。

 

カズオ・イシグロの「日の名残り」を読んだ。

 

小説のジャンルからすると、自分でも珍しいものを読んだのではないかなぁという気分。

 

ノーベル賞取るまではカズオ・イシグロの名前すら知らなかった男なので、細かい分析だのどうのは置いといて、読んだ感想を率直に書きます。

 

あらすじ

にもならないような説明です。

 

イギリス執事のスティーブンスによる自分語りが延々と続くという感じ。

 

もうちょっとちゃんと説明すると、

 

老年になったスティーブンスが新しい主であるアメリカ人のファラディから休暇をもらい、旅に出るところから物語は始まる。

 

旅の目的は、昔お屋敷で働いていた女中頭に会いに行くこと。

 

ティーブンスは過去のイギリス人のなんとか卿の主のもとで起きたこととか、女中頭との間で起きたことを思い出しながら自分語る。

 

まぁそのなんとか卿も女中頭との関係もなんというか残念な感じなのだが、それをスティーブンスは認められないながらも心のどこかで後悔をしているところが非常に良い。

 

良いと思ったところ

はそうだなーなんというかやっぱり「品格」の話なのではないだろうか。

 

というか、この小説の大きなテーマってやっぱり「品格」にあると思う。

 

ティーブンス的な品格についても作中で延々と語っていて、それが中々に興味深い。

 

ティーブンス的には主に尽すこと、それが執事としての品格であって、主のすることに疑問を持つだとか、頭が切れるだとかは品格ではないと断言する。

 

ただそれって結局、昔の主がナチスの協力者としてイギリス中から蔑まれていることを認められないところから来ているのだろう。

 

あとは、女中頭との関係がスティーブンスの言うところの「品格」でうまく行かないことの自己正当化という側面もある。

 

ただスティーブンス自身もそれをわかってはいるところの描写がとても人間的でぐっと来た。

 

この小説は自己欺瞞に対してどう付き合うのか、ということを一人の執事の人生を通して見せてくれるのかもしれない。

 

あとは、まあ作品全体がすごいユーモアがあってスティーブンスのことをどんどんと好きになっていけるのがすごいなぁと思う。

 

もちろん原作は英語なので、これは翻訳の人の仕事が良いのもあるのだと思う。

 

最初は鼻につくだけだったスティーブンスの気取った言い回しも、読みすすめるうちにだんだんと癖になってくる。

 

あとは、ジョークを言ってみてダダ滑るところとかが愛おしいので、読んでいて不快な気分になることがない。

 

偏屈なおじいさんの話小説が好きな人にはぜひとも読んでほしい一冊。

 

地下室の手記とか、クロイツェル・ソナタとか、四畳半神話大系と個人的なジャンルでは一緒。

 

そろそろ疲れたので、終わります。

 

あ、映画もあると知って気になったので借りてきました。

パッケージのスティーブンスがマジスティーブンスなのでちょっと楽しみ。